第12話 行ってらっしゃい!!
合同授業終了後。
リリアは組合組の生徒を教室に集めた。
「えー、集まってもらったのは他でもありません。今からちょっと厳しいことを言いますね」
そう言って、生徒の顔を見渡す。
ものの見事に、めんどくさそうな顔ばかりが並んでいる。
「あのさ? 勇者舐めてんでしょ? 何でこんな学校ができて、あんたちがここに集められたかわかる? 今魔物の動きが活発になってきて、再び世界征服してやるとか馬鹿なこと言い出す時期魔王とかも出てきて。そのうちこないだの授業レベルの魔物が街中に溢れだすなんてことも起こり得るの。この学校はね、最低でもレベル99以上で卒業資格を得る事になってる。つまり、今後、レベル99以上じゃないと、勇者と名乗れなくなる」
「えーそんなの聞いてないしー」
「勇者資格は一生ものって聞いたからなったのに、詐欺じゃね?」
「まあ、今現在あなた達の資格を剥奪する権利は、私達どころか組合にもないわ。口でいくら言ってもあなた達には響かないようなので、体感してもらいましょう」
「は??」
「装備アイテムは最高級品を用意させてもらったわ。勇者とは何か、しっかり勉強してらっしゃーい!!」
困惑する生徒をよそに、リリアは元気よく腕を振り上げ、パチンと指を鳴らした。
次の瞬間。
教室から生徒全員の姿が消えた。
「あいつらどこ行ったんだ?」
落ちこぼれ組を教室に集めたのが気になったのだろう。教室の外からそっと中を伺っていた教師陣が、ぞろぞろと中に入ってくる。
「言っても無駄だし、授業もまともに受ける気ない奴らだからね。現実を見ていただこうと思って、仮想ダンジョンに送り込んだの」
「仮想ダンジョン?」
「そ。私らがレベル上げの為にせっせとダンジョン通いしたでしょ?アレを疑似体験させるための部屋。仮想だから攻撃受けても死なないけど、痛みはちゃんと感じる。レベル10のラスボスを倒せたら、こっちの世界に戻ってこれ、戻って来れたときには全員レベル10になっているって仕様なんだけどね」
「なるほど。あいつらには下手な授業よりそのくらいの方がいいかもな」
「どのくらいかかるか見物ね」
「仮想世界には宿屋も食事処もアイテムショップもあるし、お金もちゃんと持たせてあるから、何ヶ月でも生活はできるからね」
「死なない、って言ってたけどぉ、仮想世界で死んじゃったらぁ、どうするのぉ?」
「こっちの世界に強制送還されるの。送還されて来たやつは勇者資格剥奪の上、警邏隊に入ってもらう」
「警邏隊?」
「現状あの子達がやってた仕事なのよね? この度、組合は勇者と警邏と明確に分けるみたい。勇者より若干給料は劣るものの、一応危険手当もつくし、条件は悪くないはず。向いてない仕事をしたところであの子達の為にもならないしね」
「確かになあ」
「さて。何人残るかな?」
講師陣は誰ともなく顔を見合わせると、意味有りげに笑いあった。
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