第9話 講師室へようこそ!
「アレだろ? リリアの暴走止める為にエイブラム自ら補佐役買って出たんだろ?」
「学園長が補佐って普通ないよねぇー」
「リリアだったら一撃で学園潰せるだろうしな」
「できたばっかの学園潰されたくねえもんな」
「ちょっと! 聞こえてるんだけど」
昼休み。
講師室で弁当を食べながら雑談する講師陣に、額に青筋を浮き上がらせながら、リリアは自分の机にドカッ、と腰を下ろした。
「でも、事実だろ?」
「私は普通の主婦ですからね。そんなことはいたしません」
しれっと答えるリリアに、白々しいと言わんばかりに呆れた眼差しを向ける。
「その割には初授業はなかなかのもんだったらしいじゃねーか」
「アレは私のせいじゃないでしょう? つーかなんなの、あの問題児軍団」
「組合にいた頃から箸にも棒にも引っかからないどころか、トラブルメーカーばっかりだったからな」
「あの子達が使えるようになる日なんて来るのかしらねえ?」
「一定の基準値に満たない場合解雇します、って条文入れた方が早い気がするぅー」
だよなあ、と一斉に首を縦に振る。
「新規雇入れの条件は一定の基準値に達している事、って条件追加されたみたいだけどな。今いる奴らには適応されねえからなあ」
「まあ、でも呼び出したのが99程度のレベルで助かったわ」
「そう言い切れるのはお前くらいだろうぜ」
苦笑混じりにアーサーがツッコミを入れる。
「えー、あんたたちだってレベル99程度じゃ相手になんないでしょ?」
「リミッター解除だけで相手をビビらせるほどの力は俺にはないな」
「あたしもー」
「実際に戦闘になれば話は別だけどな」
「もーみんなしてか弱い女子をいじめるー」
「…お前、いっぺん『か弱い』って単語辞書で調べた方がいいぞ」
「いじめの定義も、な」
呆れ顔で言われてリリアはちょっとふてくされた。そこまで言わなくたっていいのに。
「あ、アーサー。授業に空きがある時でいいんだけどさ? ちょっと相手してくれない?」
「は? 相手ってなんのだよ?」
「剣戟の」
「なんの冗談だよ、ソレ」
「いや、冗談じゃなくて。剣術の授業でね、デモンストレーションしたいんだけど、私と互角に闘える魔物いなくってさー。あんただったら相手になるでしょ?」
「お前の相手になるやつなんてこの世にいねえだろ」
「まあまあ。ちゃんと型とか決めてやればなんとかなるでしょ。私のスピードについて来れるの、アーサーくらいしかいないんだって」
「あーもう、わかったよ」
降参だと言わんばかりに両手を上げる。
「でもなんで剣戟のデモンストレーションを?」
「勘違い腕自慢を黙らせる意味もあるんだけど。レベルに見合わない剣使う奴とか剣の性能次第で勝てるとか甘い考えのやつを一蹴する為に、ね。だから、デモンストレーションでは真剣じゃなくて、授業用の木刀を使う」
「一種のパフォーマンス、ってわけか。そういう事だったら、うちのクラスと合同授業、ってのはどうだ?」
「私は構わないけど?」
「んじゃ、エイブラムに相談して、詳しいことは決めるとするか」
話がまとまりかけたところで、ティナが勢いよく手を上げる。
「はいはーい!! 合同授業だったらうちのクラスともやろーよー!」
「だったらうちもお願いしたいな。我々は得意分野を担当しているが、上には上がいるわけで、リリアの技術も生徒達に見せてやりたい」
「私でお役に立てるならいくらでも。とりあえず、学園長サマにお伺い立ててからだね」
「だな。おっと、もうこんな時間か。そろそろ次の授業に行かねえとな」
「話の続きは放課後または後日、かな」
「んだねー。じゃあ行ってきまぁーす」
「じゃあ、また」
食べていた食器を片付けると、それぞれ自分の教室へと戻っていった。
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