第8話 新魔王と魔界と魔物。

紫を基調とした豪奢な部屋。


そこには一見十代に見える少年と、先程授業で呼び出されそのまま魔界へ還された魔物がいた。

窓から見える景色は異様ともいえる光景で、赤黒い空に、見たこともないような奇形の鳥や生き物が耳障りな鳴き声を発しながら蠢いている。


魔物からの報告に、少年は顔を輝かせて叫んだ。


「なにっ!? カロリーナ・R・マロンが生きていただと!!?」

「は、はい。あの圧倒的な力、間違いないかと」

「ふっ、ふはははははははは!!! 面白くなってきたな! 親父が成し遂げられなかったことを俺様が! この魔王jr、ルシフェル様が! 必ず成し遂げてみせるぞ!!! よし、お前ら! 全魔物のレベル上げを急げ!!」

「はっ! 承知いたしました!」


言うが早いが、魔物の姿が一瞬で消える。

ルシフェルは興奮醒めやらぬ顔で何やら呟いていたが、腹心とも相棒とも言える使い魔がそばに来ると、優しく頭を撫でながら口を開いた。


「まさか生きていようとはな。ようやく、ようやく長年の夢が叶える時が来たんだ。だが、まだだ。まだ、俺の力は彼女に遠く及ばない。もっともっと、強くなって、今度こそ!!」


心底嬉しそうに語ると、使い魔を伴って、部屋をあとにした。

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