終幕 未来は実る

  太陽がサンサンと大地を照らす。灼熱の大地と化したかつての牢獄は人々の幸せが通う学び舎となった。


 その歴史も価値も忘れた人々は自由気ままにその学び舎へ訪れる。はるか遠い大樹の成る国からたくさんの生徒が学びに胸を躍らせここに集う。


 持ち物も服装もバラバラだけど意欲は同じ。顔も性格もバラバラだけど、それぞれで楽しんでいる。本を読みながら歩いたり、友達と話をしながらだったり、うつむいていたり。


 彼らは自分たちの行動は自分たちで決めて自由にここへきている。先生にけがの無いように注意をされたら、その日の授業は始まる。


 光り輝く太陽のもとで希望を芽吹せる子供たちは楽しそうに話を聞いて机とか床に落書きをしている。一見無法地帯に見えるけどそれがいいのだ。子供に法なんて似合わない。

 

 すると授業の途中に走りこんできた男の子がいた。その子はこの学び舎の新たな無法者だ。荷物なんて何もなく、服装もよぼよぼだけど顔はものすごく明るい子供だ。


 その子の登場にわっと盛り上がる学び舎の無法者たちはその子を迎え入れ、無法の空間をさらに混乱させた。


 それでも希望に満ちたその瞳は変わらない。美しくまっすぐでどこまでも見据えるその瞳にどんなものが映るのか、移るのか、


 だれもがそれぞれに期待をする。もしかしたらその期待とは違った方へ進むかもしれない。でもそんなのはどうでもいい。自分が楽しければ。

 

 この学び舎ではそれを学ぶのだ。自分の楽しさを基準として未来へ進む楽しさを伝えること、それがこの学び舎の理念。


 だがそれすらも聞いてるのか聞いていないのかよくわからない。実際忘れているかもしれない。まあ、忘れてもいい。大したことでもない。

 

 その無法者たちは細かいものにも大胆なものにも簡単に染まっていく。


 もはや黒にも見えるほどまじりあったその色は一体どのように変わっていくのだろうか。


 大人になって霞むことはないだろうか。そんな疑問はこの学び舎には合わないさ、やめてしまえ。昔の人が書いた『人が神になるまで』っていう本でも読んで適当なことは忘れよう。


どうせこれも自由気ままに作ったんだろうさ。だってこの学び舎で読むんだから。あなたは何を思うの?好きに思っていいよ。



 想像してみてよ、自由にさ。

この子たちが大人になった夏にどんな未来が実っていくのかっていうその暁を。

ま、想像しなくてもしても自由だけど。ここはそういうところだからね。

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