第260話 帰宅の途……。(12)

 家に、屋敷に帰還、帰宅をしたのは、覇王妃さまだけでない。


 武信君こと梁さまと、楚呉の軍師、参謀である拍殿も帰還、帰宅の途についているから。


「胡亥~。あんた~。あんたはね~。いつまで、籍の側にいて甘えているの~」と。


 部屋に入るなり拍殿はいつもの如く、というか?


 先程の続き、この部屋──。この場にいる黒き漆黒の衣を纏っていた者達へとまた不満を漏らし始めるのだよ。


「もう~。私は~。あんた達の為に~。自分自身の腰~。お尻を打って痛いのだから~。早くそこをどきなさいよ~。胡亥~。今直ぐに~」と。


 胡亥姫さまが座る。居座る位置──。


 そう、拍殿の愛する主さまの真横──。彼に寄り添い甘える。甘えることのできる位置──。ベストポジションを今直ぐ空けろ。空けるようにと、荒々しく告げてきたのだよ。と、なれば?

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