第257話 帰宅の途……。(9)
まあ、籍らしいというか? 覇王項羽殿らしい振る舞いと、言ったらいいのかな?
英雄色を好むではないが? 生前の覇王項羽殿も、自身の身の周りの世話をする女性達や妃達、女性陣に対しては、大変にお優しい御方。憤怒! 怒号を吐くようなこともないと。確か国士無双の韓信大将軍殿が、赤帝劉邦に告げたシーンがあったような気もするから。
と、なれば?
中華四千年の歴史最強武士ではないか? 世に謳われる覇王項羽殿の男性バージョンである籍が異性に対してこんな感じ。優しく柔らかいのだから。
女性バージョンの覇王妃さまは、どうなのだろうか? と、思ってしまうのだが。
まあ、彼女の場合は、皆も知っている通りで、『籍!』、『籍~!』、『お~い。籍~!』の【籍命】と、言っても過言ではない。ダークエルフの姫巫女さまだから。
己の主さまに、『煩い。静かにしろ』、『おしとやかに女性らしく振る舞うのだ』、『わかったな? 羽?』と告げ。諫められれば。
「あ~い。わかった。わかったよ。籍~。もう少し儂も、籍が申す通りにしおらしく。女性らしく振る舞うよ~」と。
覇王妃さまはあっさりと籍の諫め、下知に従うのだよ。
これもさ? 時々ではなく。いつもの通りでさ。
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