項羽と籍

第254話 帰宅の途……。（６）

　やはりいくら思案を続け模索しても心当たりが見当たらない。見つからないのだ。

　まあ、こんなことを脳裏で思案を続けていれば。

「あああ～。き、貴様等～。な、何をしている～。しているのだ～。胡亥と子嬰（しえい）～。貴様達二人は～。一体、何をしているのだ～？」

　まあ、こんな感じだ。覇王妃さまが、己の主、籍の声がするリビング、ダイニングへと足を踏み入れ、入るとね。いきなり憤怒──。誰かさん、の名──。

　それも？　二名の名をあげながら憤怒、怒号、怒声を吐き、放つのだ。驚愕、驚嘆交じりの声音で。

　でもさ？　何処かの誰かさん、二名はね？

「煩いですよ～。覇王～。貴女は何故いつも～。事ある事に～。甲高い声音で、大袈裟に騒ぎながら叫ぶのですか～。少しは妾のようにお淑やかにしないさい。振る舞いなさい～」と。

　何処かの誰かさんというか？　籍のクラスメイトとであり。彼が通う秦学園のマドンナ姫さまの一人である。そう、籍のことが大のお気に入りである胡亥姫さまが、何故か籍が座り寛ぐソファーの片翼へと座り込んで寛いでいる。

　それも、覇王妃さまが、胡亥何をしているのだと憤怒、怒号、怒りをあらわに、と、いうか？

　嫉妬心を剥き出しあらわに怒声を吐き、放つぐらい。籍にしな垂れかかり甘えている。