第231話 李信対覇王妃  (20)

 彼女の耳に届くかどうかは別として? 我等も絶叫染みた声色で、拍殿に逃げるようにと叫び、促したのだが?


 う~ん、ダメっぽいかな……?


 だって~? 落馬して、尻餅……。


「痛、たたた……」と。


 悲痛な声を漏らしている拍殿に対して? 秦の黒騎士こと李信は?


 自分自身が握っている戟を再度、自身の頭上へと振り上げ──! 身構えるのだよ。


 と、なれば?


 そのまま? 秦の黒騎士こと李信が? 勢い良く戟を振り下ろせば?


 妖艶で美しいダークエルフの拍殿は? 一刀両断──!


 真二つになってしまうこと間違いないのだから。


 まあ、そうなる可能性が大となってきた我等は? 自分達の両目をいつまでも開け──拍殿の美しい容姿を見て確認することはできなくなった。


 だって~? 今から~? 秦の黒騎士こと李信により拍殿への残虐ショーが始まるのだから。我等も慌てふためきながら自身の瞼を閉じたのだ。


 これから先おこなわれる残虐なショーを凝視したくはないから。


 まあ、我等がそんなことを自身の脳裏で思案をしていると?


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