第232話 李信対覇王妃  (21)

〈シュ~!〉


 ……ん? あれ? 何かしら? 風を切る音……がしたような気がする?


〈カ~ン!〉


 と、思えば? 今度は金属音がしたのだ?


 だから我等は? 自身の両目を塞ぐ手のひらを慌てふためきながら、覆いい隠す行為をやめるのだ。


 と、同時に?


「チッ!」と。


 男性の声色での舌打ちをする声が? どこからともなく我等の耳へと聞こえてきたのだよ。


 と、なれば?


 我等は直ぐに、舌打ちがした方へと視線を変えてみたのだ。


 すると?


 秦の黒騎士こと李信が……。


 と、いうよりも?


 真の黒騎士こと李信は? 男性だったのだね?


 我等も? 今初めて知ったのだ。秦の黒騎士こと李信が男だと言うことをね?


 今迄彼のことを我等は? 女性……。


 そう~? 戦姫だと、ばかり思っていたのだよ。


 だって~? この物語に出てきた主要人物のほとんど……。籍と健司少年の二人以外は女性……。


 それも~? 大乱闘や戦をしたのは? ダークエルフの精霊である覇王妃さまと? ダークエルフ化した梁さまと拍殿の三人だけだから。


 この物語自体が? 今流行りの、古の英雄達の女体化作品だと、ばかり。我等は思っていたのだよ。



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