第285話 籍の様子は? (9)

「そうかぁ~。そうなんだぁ~。それは知らなかった」と。


 梁様は拍殿の説明を聞き、首肯をしながら独り言のように呟けば。


「よ~し! じゃ、今から羽ちゃんに協力して頑張って、籍を助け。私も皆に負けないくらい籍に可愛がってもらうかなぁ。(ふっ、ふふっ)」と。


 梁様も拍殿につられて妖艶に笑みを漏らせば。


「あら、あら、義母さまも、やはりわらわのライバルだったのですね。多分そうだと思っていましたよ。(ふっ、ふふっ)」と。


 まあ、何とも言い難いと、言うか?


 まさに今夜から田中家は、男覇王の転生者である籍を巡り新たな戦い、死闘が繰り広げられるようだね。


 だって今晩から覇王妃様だけではなく、秦の皇帝を務め、秦を衰退へと導いた胡亥姫さまも加わるようだからね。


 何とも、『恐ろしやぁ』、『恐ろしやぁ~』、田中家だと、傍から凝視して思う。


 また、こんなくだらない会話を、自身の後方で、和気藹々としている三人に対して覇王妃さまは。


「早くー! 皆ぁあああっ! こっち来いー! とっとと、この化け物を退治して、籍を助けて家に帰ろうー! 帰るぞぉおおおっ! 皆ぁあああっ!」と。


 覇王妃様が声を大にして叫べば。


「あ~い」


「今からいきますわ、覇王~」


「煩いなぁっ! 化け物女目ー!」と。


 覇王妃様以外の、残りの三人娘。


 梁様を筆頭に、胡亥姫様、拍殿の返事が高らかに聞こえてきたのだった。




 ◇◇◇

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