第278話 籍の様子は? (2)

 胡亥姫さまは梁さまへと問う。


 と、同時に。


「そうなの、姉さん?」と。


 拍殿が梁さまへと問う。


 胡亥姫さまの話しは本当なのかとね。


「うん、振り込まれているし。年に二回の授業料も免除になっているから。可笑しいなぁ? 何故だろう? と、思いながら。学園にも、何度も問い合わせの電話を事務局へとしたのだけれど。家の籍の場合は、特別待遇だとしか教えてくれなくて。まあ、いいかなぁ? とぐらいしか思っていなかったの。(あっ、ははっ)」と。


 梁さまは、拍殿の問いかけに対しての説明なのだが、最後は笑って誤魔化し始める。


 だから拍殿は、いつまでも籍の事でシクシクと落ち込んではいられなくなり。


 自身の瞼を大きく開けながら。


「ウソでしょう? 姉さん?」


 と、問いかけるのだが。


「いや、これが本当なのよね。拍。(わっ、ははっ)」と。


 やっぱり梁さまは、拍殿の問いかけに対して笑って誤魔化してくるのだ。


 それでもね、拍殿は、めげない! 負けないのだ!


 未だ彼、籍の安否状態の方は、確認できてはいない状態なのに。


 そんな、大事な事を確認する前に、自分のライバルが増える事の方を最優先してしまうから。


 覇王妃さまが皆へと要求……。


 そう、田中家の女達へと、今直ぐ物の怪健司を撃つべし! 討伐するべし! が。


 いつまで経っても始まらないでいるから、本当に困った女性ひと達だなと思いながら四人の様子を窺っていると。


「姉さん、笑い事じゃないわよ! これ以上、ライバルが増えるのは嫌だから」と。


 拍殿は今にも泣き出しそうな声音で、不満を漏らすのだが。


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