第272話 今度は驚愕と落胆です(2)

 そう、物の怪健司は、未だ懲りもしないで、麗しい覇王妃さまを自分のものしてやろうと画策──。


 隙あれば自身の長くて、卑猥、触手しょくしゅをシュル、シュルと伸ばして、覇王妃さまへとじゃれ、戯れてくるのだが。


 その都度、覇王妃さまは、今の通りで、自身の握る奉天画戟を振るい。


 物の怪健司の触手を弾いて、叩いて、切断をするのだ。


 この悲しみに耽る最中に、自分にじゃれるな、場を弁えろと、物の怪健司に罵声を放ち!


 魔法スキル【一喝!】をしたものだから。


 物の怪健司は硬直! 身動きとれない状態へと陥っているから。


 今のうちにと覇王妃さまは思いながら、自身の首を振り。


「本当なんだよ。母上様」と。


 今にも泣き出しそう。


 彼女、覇王妃さまらしくない。


 哀愁漂う、切ない顔をされるのだ。


 だから遠目から覇王妃さまの様子を凝視、窺がえば、本当に痛々しいと思う。


 と、言いたいところではあるのだが。


 哀愁漂う、切ない女心を魅せるのは、覇王妃さまだけではなく。


 彼女の最大のライバルである拍殿も。


「……姉さん、どうしよう」と。


 今にも泣きそうな声を漏らす始末なのだ。


 それと?


 梁さまも初めて見る少女……。



 自身の頭には、水牛のような角を所持して、背中に鳥では無く、蝙蝠、翼竜のような羽、翼を所持する少女も。


「お母さま、わらわはどうしたらよろしいでしょうか?」と。


 お姫さま口調で自分へ問いかけてくるから、梁さま自身も困惑をしてしまうのだよ。


 だから梁さまは、胡亥姫さまに。


「貴女は誰? 誰なのですか?」と。


 困惑した表情で問いかけるのだった。



 ◇◇◇

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