第266話 幸せとは儚い物……(2)

 籍自身も大変に凛々しく、御立派、勇んだ様子でそびえ立つ、黒光りをした聖剣、大蛇を、自身の腰に両手を当て、仁王立ちをしながら、拍殿に。


『どうだ! 凄いだろう! 凛々しいだろう! 好きだけ拝めばよいぞ! 余が許す!』と、でも言いたい素振りで、物の怪健司を背にしながら。


 彼の、籍の、筋肉質、尖り、締まったお尻をフリフリしながら魅せる! 見せびらかしていると。


「ピシャ、アアアッ! クエクエ! ピィー! キャ、アアアッ!」(オェ、オェ)と。


 同性愛、漢には興味が無い物の怪健司が、最初は憤怒! 憤慨!


 そして奇声をあげ!


 その後は、籍の裸体、お尻を凝視して、俯き嘔吐──。


 我に返れば、自身の触手しょくしゅを素早く伸ばして、籍を束縛──。


「あっ、あああっ!」と。


 籍の絶叫も放たれたのだが。


 物の怪健司は、そのまま、自身の口へと放り込んで「パク」と捕食──。


 物の怪健司の身体に取り込み、糧としてしまったのだ。


 だから三人の麗しい戦姫さま達は、主の余りに儚い死に対して泣く事すらできずに。


 只茫然、開いた口が塞がらない状態でいる事しかかできないのだった。



 ◇◇◇

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