第265話 幸せとは儚い物……(1)

 そう、題の通りだ。


 幸せとは儚い物。


 物なのだ! と、言う事をしみじみと思い知らされた拍殿……だけではないか?


 胡亥姫さまも覇王妃さまも唖然、呆然、沈黙……。



 開いた口が塞がらない状態なのだ。


 と、今の三人……。



 籍以外の、覇王妃さまと拍殿、胡亥姫さまとで、籍のラブラブ妃さまトリオなのだが。


 今の三人の顔色を変えた様子と、この場に籍がいない状態を凝視すれば、おのずと何が起きたのは察しがつくとは思うのだが。


 一応は察しのつかない者もいると思うから簡易的ではあるのだが説明をする事にする。


 と、告げたところで。


 先程の話し。終わりの回想シーンとなるのだが。


 この場に只今いない籍が、自身の妃であり。


 幼少期から自分自身を支え尽くし、奉公をしてくれた拍殿の変わり果てた姿ではないか?



 魔王! 女神! 天女! 


 自身の姉である梁さまと一緒で、ダークエルフの精霊化に成功──。


 自身の妖艶、官能的な容姿──。


 露出度の高い、純白の甲冑の隙間から所狭しと、自身の優艶な肢体を曝け出し、自身の主籍へと魅せ、拝ませれば。


 籍の持つ、妃さま達が大事な宝、法具、聖剣の方が。


 今迄拍殿が見たこともないぐらい巨大化! そびえ立つ! 大蛇のように。


 だから拍殿は、そんな素晴らしく、凛々しい主さまにウットリと魅入り、酔いしれながら。注目──。


「籍~。お姉ちゃん。家にいる時はいつもこの容姿でいるね。あなたがこの容姿が気に入ったと言うから~」と。


 自身の主である籍へと、彼の持つ聖剣にウットリ酔いしれ、堪能しながら甘え声音で告げたのだ。


「うん。拍姉、お願いだよ。よろしく頼むね」と。


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