第264話 叔母上さま変身! (2)

 彼女は自身の主さまへと、自分自身が毎日、毎晩のように、覇王妃さまの籍への押しかけ女房的な、夜這いが発覚する度に。


 覇王妃さまと拍殿は言い争い。


「淫乱女ー!」


「化け物の女ー!」


「淫乱女はお前だろうがー!」


「何を言っているのー! 化け物。物の怪。お化けの類の癖に。何をー! 私の籍に色仕掛けをして、家のひとの生気、精気を全部吸い盗ろうとしているのー! 出て言ってよ。項羽ー! お化けの癖にー!」


「はぁ、何を言っているんだー! この淫乱女がー! 糞ババがー! 淫乱は、お前だー! お前がー! 儂の籍を事ある毎に精気を吸い取り、己の体内に吸い取り。貯蓄! 溜めているではないか。糞ババがー!」と。


 この二人は毎夜のように、悪態をつきあいながら。


 子供の喧嘩のような口論、言い争いをしているのだ。


 でっ、最後には二人とも。


「籍~。この化け物女がお姉ちゃんの事を苛めるの~。早く~、怒ってよ。叱ってよ~。項羽の事を~」


「何を言っているんだぁあああっ! この淫乱女がぁあああっ! 籍だって見ていたよなぁ? この淫乱女が最初に儂へと罵声を吐いて喧嘩を売ってきたところぉっ! だからこの淫乱女を叱ってくれ籍ー!」と。


 覇王妃さまと拍殿が二人同時に、籍へと嘆願をするものだから。


 最後には二人の主さまに。


 二人仲良く折檻──。


 お尻叩きの刑に逢い。


 涙と絶叫を漏らしている二人の一人である拍殿が。


 いつも自分自身が貶す覇王妃さまと同じ容姿に。


 ダークエルフ化したものだから、今にも彼女は泣き出しそうな素振り、様子を、籍へと魅せるのだが。


「俺は、姉さんの今の容姿。大変に素敵で良いと思うぞ。……もう、それこそ? 俺の男! オスとしての性が抑え切れなくなるくらい。拍姉は素敵。素敵だよ。愛している」と。


 籍はダークエルフ化した麗しい彼女、拍殿を心から褒め称え歓喜するのだ。


 だから拍殿は、嬉しくて、嬉しくて仕方がないようだ。



 ◇◇◇

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