第263話 叔母上さま変身! (1)

「……ん? ほう。やっとか……」



「ピキィー?」


「チッ 失敗したか……」



 拍殿が、拍殿が、大変に神々しく、美しくなられた。


 そう。先程の話しの回想シーンではないが。


 胡亥姫さまの、放った。


 殺人魔法弾を『ヒョイ』と、『見える』と、易々と交わした拍殿なのだが。


 只今自身の魔法少女。妖魔。精霊。女神。魔王……。



 まあ、何変身なのか迄はわからないけれど。


 自身の優艶な肢体の、肌の色合いである褐色色した肌を見て確認──。


 驚愕! 困惑!


 自身の声も出ない程、唖然、呆然と佇む、拍殿なのだが。


 そんな彼女の容姿を凝視して、覇王妃さま。物の怪健司の一人、一匹は、順に声を漏らす。


 でっ、最後に、拍殿を仕留め損ねた。殺害し損ねた。


 胡亥姫さまが拍殿を忌々しい目つきで睨みながら舌打ち。悪態をついてみせるのだが。


 当に本人である拍殿は、胡亥姫さまが自分へと殺意のある攻撃のことなど。


 当に忘れてしまう程、自身の容姿の変わりように驚愕、動揺をしている最中なのだ。


 そんな彼女に対して籍は。


「は、拍姉。拍姉が羽に、羽になっちゃった。なっちゃったよぉおおおっ!」と。


 絶叫を上げる。


 声を大にして叫ぶのだ。


 だから拍殿は更に動揺。


 自身の顔色を変えながら。


「籍~。お姉ちゃん。覇王のような、化け物女なっちゃった。一体どうしよう? どうしたら良い。籍?」と。

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