第261話 叔母上さま登場……(5)

 まあ、当たり前だけれど。


 籍は、胡亥姫さまの可愛く締まったお尻が、尻餅つこうとも、気にした様子。素振りもみせないままで。


「うぉ、おおおっ! 姉さんー!」と。


 また籍が自身の大事な妃の名を呼び、叫びながら瞬時に立ち上がり。


 そのまま、拍殿へとダイブ──。


 自身の妃の裸体を、物の怪健司の邪な思いと目から守る。


 彼は守護してみせるのだ。


 籍は拍殿に抱き付き、彼女の衣と化すから。


 物の怪健司の憧れのお姉さまである拍殿の大変に張りがあり。形の整ったオッパイと。


 腹部の下にある秘密の草原を物の怪健司は見る。


 拝む事もできないでいるのだ。


 だから物の怪健司の目が、瞳が、籍への嫉妬心と殺意へと変わる。


 変わるのだが。


 それはお互い様なのだ。


 だって籍も自身の妃を裸体にされたのだから。


 先ずは拍殿に。


「ね、姉さん。大丈夫? 傷や火傷などを身体にしていない?」と。


 本当に情けない顔。


 今にも彼は、泣きだしそうなくらい。


 拍殿の身を案じるから。


 彼女、拍殿は歓喜!


 感無量なのだ!


 だって自分の愛する主さまが、自分自身の身を挺し、犠牲にしてまでも。


 物の怪から自分自身を守る。


 守護してくれたのだから。


 拍殿は女冥利に尽きる。


 まあ、そんな様子の彼女だから嬉しくて仕方がないのだ。


 だから拍殿は、自身の頬を桜色に染め。


「うん、大丈夫。大丈夫よ。あなた~」と。


 甘え声音を漏らしながら首を振り。


 最後は頷いたのだ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る