第246話 妖魔、魔物の?(16)

 でも、皆も先程の回想シーンを思い出せば。


『あっ? そう言えば?』と、思う筈なのだ。


 だって覇王妃さまは、籍の母である梁さまと対峙した時に魔法弾を打ち、放ち。梁さまを殺傷処分にしてみようかな? と、一瞬でも思ってしまい。躊躇わず強力な魔法弾を打ってしまった。


 でも、しかしだ。やはり打った。打ち込んだはいいのだが。土壇場になると前世で自分自身を息子のように育て、育んでくれた伯父である項梁のことを思い出せば。覇王妃さまはウルウルと、自身の紅色の瞳が滲み見えなくなるほど涙が溜まってしまい。


『伯父上逃げてください!』ではなく。(笑)


『伯母上~! 母上~! お逃げください。お願いします!』と、悲痛な叫びで、梁さまへと、その場から逃げるようにと嘆願──。


 でも、間に合いそうにないからと。皆も知っての通りで、ダークエルフ化。精霊。女神──。


 それとも、悪しき者。魔物化へと強引に変化をさせ、自身の放った魔力弾を地球外。大気圏外へと弾かせたのだ。


 だから覇王妃さまは、梁さまを魔物、精霊、女神化させたことで残りの魔力が少ない状態なのだ。


 だから覇王妃さまは、再度胡亥姫さまへと嘆願をおこなうのだ。


「……悪い。胡亥。儂は先程、母上さまをダークエルフ化させたから余り魔力が残っていないのだ」と。


 覇王妃さまは、また珍しく、頭を下げながら胡亥姫さまへと嘆願をおこなったのだ。


 でも彼女、覇王妃さまの説明、話しは未だ終わらない。


 だって彼女は、更に自身の艶やかな唇を開き。


「サキュバスのお前は、先程から儂の籍から。精力を吸い尽くし、貪っているから魔力量に余分がある筈だ。だから頼む。胡亥。空間を遮断してくれ。儂の主さまが友を、友人を助けたいと言っているのだから頼む。お願いだ」と。


 籍の妻、妃らしく振る舞い。他家の女性。秦の始皇帝政の一族の姫君へと頭を再度。今度は深々と下げ。お願いをする覇王妃さまだった。



 ◇◇◇◇◇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る