第244話 妖魔、魔物の?(14)

 だから籍は猪突猛進──突撃を決行するのだと言いたい。告げたいところではある場面。シーンではあるのだが。


〈ドーン!〉


「あっ、あああっ! な、何だぁあああっ!」


〈ガーン!〉


「……い、痛い。痛いでごわす……じゃない! ないからぁっ!」と。


 その場に大袈裟なぐらい大の字で勢いよく転げた。ひっくり返ってしまった籍の口から。声を大にした叫びが放たれるのだ。


 そう。実は、威勢良く猪突猛進──。突撃を勢い良く決行! 自身の目の前、前方から甘え、戯れていた胡亥姫さまを振り払う迄は、籍自身も良かったのだが。


 自身の愛する殿方に振り払われて、『あれ~。籍の~。いけず~』と、なっていた胡亥姫さまが。そのまま籍の背後へと瞬時に移動──。


 そのまま、愛する殿を。籍の背後からお腹。胴周りに。胡亥姫の細い腕を回し、抱き付き。愛する彼の無謀な猪突猛進を取り押さえたのだ。


 だから、ああ無情……。


 籍は大の字、蛙状態──。自身の瞼、目を大きく開け、驚愕、絶叫を放ちながらその場に倒れ込んでしまった。


「ふふっ。これで、よろしいですか? 覇王?」


「ああ、オッケー。オッケーだ。胡亥。有難うなぁ。助かるよ。これで籍の命や身体は守る事が出来るから。本当に助かった」と。








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