第232話 妖魔、魔物の?(2)

 自分自身の触手の攻撃が一度たりとも当たらない。掠りもしない籍から、ターゲットを観戦していた者達へとシフト、変えてしまうのだ。


 そう、自分自身と変わらぬ邪な想いを募らす卑猥、破廉恥極まりない者達……。


 先程から胡亥姫さまの素足、カモシカのようにすらりと伸びた足と。その足が瞬時に蹴りとして放たれる時に、『ヒラリ』、『チラリ』と見える。胡亥姫さまの年齢にしてみたら不釣り合いな、紫色した優艶な下着。パンティーと言う奴が、チラチラと短いスカートの間から見える。凝視、確認ができる度に。


「うん、うん」と、頷いてみたり。


「パン! ツ! 丸! 見え!」と、古典的な台詞を、声を大にして叫ぶ。


「うぉ、おおおっ!」


「すげぇえええっ!」と歓喜!


「なむ、なむ」と、拝みながら。


「良い物を見せて! 魅せてもらった! これで思い残すことはない!」と、くだらない言葉や台詞を漏らしていた。


 健司少年と変わらぬ者達へとターゲット変えて攻撃をするのだ。真っ黒な触手をすぅ~と、伸ばして『ペチン!』と、攻撃をする。すればね。刹那──。


「うぎゃ、あああっ!」


「痛い~!」


「助けてくれぇえええっ!」と、直ぐに絶叫が聞こえる。放たれるように。あっさりと物の怪健司の攻撃に遭い。地面に横たわる。平伏す。転がり回るのだ。


「うぎゃ、あああっ!」


「ぎゃぁあああっ!」と、断末魔──。


 でっ、『ピクピク』と痙攣をしたまま横たわるか。『シーン』、「……」、身動き一つしなくなるのだ。魔物健司の電気クラゲのような、電流、ビリビリ攻撃を次から次へと受けてね。


 それを今度は、物の怪健司は、自身のヌルヌルした触手で巻きつくように包み込んで、自身の何処が口? どれが口なのかわからないのだが。己の体内へと詰め込みながら『ムシャ、ムシャ』、『ガリ、ガリ』と、食音を出しながら食らい始めたのだ。


 それも? 一人食らうごとに、魔物健司の身体が巨大化していくのだ。まるで魔力、妖力。邪な想いと悪しき想い。憎悪を体内に蓄積するかのようにね。


 そんな魔物健司の容姿を覇王妃さまは、見上げるように見詰めながら。


「何だ、これは?」と。


 呆れたような声を漏らす。


「さぁ、何でしょう? 何ですかね?」と。


 胡亥姫さまも全く気にもしていないというか? 他人行儀。健司少年は、彼女とも同じクラスメイト。その上? 健司少年が魔物化、ボス化したのは、魔の物、サキュバスである胡亥姫さまが、完全魔力解放をしたのが原因なのだから。彼女には責任があるのに素知らぬ振りを始めるから大変に困った物である。


 でも、そんな二人と打って変わって、籍の方はと言うと。




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