第231話 妖魔、魔物の?(1)

「け、健司!」、


「健司──!」と。


 相変わらず声を大にして叫ぶ籍。籍なのだよ。と、言った。告げたところで。当の本人である健司少年はと言うと。前回の話し、物語の通りだ。


 この世の物、あの世の物とは思えないような異形な姿……。



 そう、クトゥルフ神話の中、物語にでも出る。出演するような異形な物へと変化──。


 そう、目玉の沢山あるアメーバなのか? スライムなのか? どちらなのかわからないような魔物化へとなってしまった健司少年は、只今彼の憎き敵である籍へと、『ヌル~』、『ペタ~』、『ペチ~』、『ペチャ、ペチャ』とした。『伸びろぉ~、腕!』、『伸びろぉ~、触手!』みたいな攻撃をしかけている最中──。


 それを籍は、健司少年の名を、「健司!」、「健司~!」、「おぉ~い! 健司~!」と、彼を。友人の名を呼び叫びながら。籍御自慢の身体能力を駆使しながら『ヒョイ、ヒョイ』と、上手く、器用に、避けている。避けてはいる。


 だから魔物化している健司少年は、イライラと不快感を更に募らせるから。


「うぎゃ、あああっ! ぎゃぁあああっ!」と。


 彼も更に荒々しく雄叫びと、叫び、咆哮を轟かせながら籍や、覇王妃さまと胡亥姫の争い。武と剣とのぶつかり合いを、手を叩きながら観戦をしていた男達へと威嚇をしてくる、だけではなく。


「うぎゃ、うぎゃ」と、


 魔物健司は、一人で荒々しく呟けば。




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