第221話 秦を滅ぼした二人の女……(6)
だから籍は、「お前等二人。直ちにやめろ。やめろと俺が言っている。いるのがわからぬか。二人とも」と。
先程までよりも小さな声……。
そう、流石に、これだけ人目、他人の目があると、覇王自らというか? 覇王籍らしい振る舞いで、憤慨しながら、天下無敵、無双の怒声を放つ訳にはいかず。小声……。
「ねぇ、二人とも? 他人の迷惑になるからやめようよ。お願いだから」と。
更に小声で、天下の往来で人目、他人の目も気にすることなく、光物まで出して、物々しく争う二人に対して制御、直ちにやめるようにと促すのだが。二人のお嬢さまの様子を凝視すればわかる通りだ。
己の主の諫めも聞き入れず、素知らぬ振りで、「ハッ! ハァ!」、「ハイ! ハァ~!」と。
中華ファンタジー的なシネマの、名演技のような剣技、拳技を、観客、観戦者達へと魅せて。
「う~ん」
「凄い」
「素晴らしい」
「美しい」
「煌びやかだ」と舌を唸らし。拍手の喝采と歓喜、歓声をあげさせ、二人の戦姫は絶賛をされるのだ。
二人の主である籍の思いとは裏腹にね。
でもさ、そろそろ二人は、やめた方がいい。控えた方がいい。いいと思うのだ。
だって二人の主さまの顔が段々と真っ赤、赤になっていく様が、遠目から見てもわかるから。本当に後で、大変なお叱りと、折檻を受けるようになると思う。麗しく美しいお嬢さま、御二人は……。
もう、それこそ? 他人、人には言えないような折檻という名の名目だけの愛。マゾニスと的な愛情を注がれても知らないよ。と、思うのだが。
二人の戦姫さま。覇王妃さまと胡亥姫は拳と剣とで、荒々しく。物々しく。
「ハイ!」
「ハァ~!」
「てやぁあああっ!」
「とぉ、おおお!」と。
終焉を迎えることもないような争いを続けている。
「籍?」
「ん? 何だ。健司?」
「何で胡亥さんと小麦色のマーメイド様は、争いをしているのだ。籍?」
二人。自身の妃二人の暴走。荒々しい所業、行為を腹立たせながら凝視、観察をしている籍へと健司少年が、また同じことを質問、問いかけてきたのだ。
だから籍は、「俺は知らん!」、「わからない!」と。また素直に健司少年へと説明。
「そ、そうか……」
「ああ……」
「も、もしかして? 籍は二人に対して怒っている? いるのか?」と。
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