第219話 秦を滅ぼした二人の女……(4)

「やるじゃねぇか。胡亥……」、


「只のできそこないの。お姫様かと思い気や……」、


「ちゃんと己で、自分自身で武器を握り争い。闘う事ができるのだな、お前自身も」と。


 覇王妃さまは、胡亥姫を侮るように嘲笑う。苦笑を浮かべ漏らすから。胡亥姫さまへのお褒め、絶賛には聞こえない。聞こえなかったようだから。胡亥姫さまにはね。


 だから彼女、胡亥姫さまは、真っ赤な顔──。彼女の雪のような真っ白い肌が。『カァ~!』と、桜色に染まり。染まると。


「煩いですね。覇王~! 妾のことをいつまで小物扱い。侮り。愚弄をしおってぇ~! 絶対に妾はぁ~! 覇王~! 貴女の事を許しませんからねぇ~! その首を叩き落としてぇ~! 我が家のリビングに飾ってやりますからぁ~! 覚悟をしなさい~! 覇王~!」と。


 大変に恐ろしい言葉、台詞を、自身を侮り、蔑んだと、勘違いをしている胡亥姫さまは、覇王妃さまへと荒々しく告げるのだ。真っ赤な顔──。ガスレンジで沸騰されたヤカンが、『ピィー!』と、甲高い音を出しながら鳴るようにね。



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