第212話 覇王妃さまのお迎え?(23)

 またそんな、様子の覇王妃を凝視すれば籍自身も。


「羽、お、お前。こ、胡亥のことを知っているのか?」と。


 慌てふためいた声色で籍は、覇王妃さまへと問うのだ。


「……ん? ああ、胡亥の事を知っているも何も、儂は胡亥達の屋敷に世話になり居候をしていたのだから」と。


 覇王妃さまは、籍へと説明をするのだ。またそれを聞けば、籍自身は、


「はぁあああっ! ど、どう言うことだ? 羽と……。そして胡亥──?」と。


 籍は覇王妃の背から、作り笑い浮かべ漏らしている胡亥姫さまへと視線を変えて問うのだ。


「……ん? まあ、彼女の言う通りで覇王は、妾達家族が住み暮らす。暮らしている屋敷で居候として、あの世から居座っていたのですよ。彼女の幾つかの願望を成就、叶えるために」と。


 胡亥姫さまは、己の主でもある筈の籍へと「フフフ」と、妖艶、微笑、薄ら笑いを浮かべ漏らしながら説明をするのだ。


 後で覇王妃さまへと、二人仲良く、自身の主である籍からお尻叩きの刑に。刑罰に遭うとも知らずに。主を侮るような笑みを、ついついいつもの癖……。姫さまらしく振る舞い、浮かべてしまう失態を犯してしまうのだ。


 でっ、覇王妃さまの方はと言うと?


「羽~! 羽~! ちょっと待て! 待てと言っているだろうに~。俺の言葉がわからぬかぁあああっ? 羽──!」と。


 籍が声を大にしながら、胡亥姫さまの許へといくなと告げているのに無視。素知らぬ振りを装いながら。胡亥姫さまへの許へと向かうのだ。


「胡亥~! 貴様ぁあああっ! この! この儂を! 覇王な儂を騙しおったであろう~!」と。


 覇王妃さまは、胡亥姫さまへと、罵声を吐きながら進むのだ。己の利き腕、掌をギュッと力強く握り。胡亥姫さまへと鉄拳制裁を加えるべく向かうのだよ。先程と言うか?


 今の今、自身の主である籍へと注意と諫められたばかりなのに、また荒々しい所業をおこなおうとしているのだ。


 今度は、自身の主である籍の前でね。




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