第210話 覇王妃さまのお迎え?(22)

 自分自身には大変に甘い者。者達のように、甘々と言った感じで覇王妃さま、自分自身を許したような気もする籍なのだが。


「羽?」


「何、籍?」


「街中で暴れるのは、これで最後にしておけよ」と。


 覇王妃さまに対して籍は、一応は忠告しておくのだ。こんな言葉も付け加えてね。


「羽、ここは? この世界は? お前が今までいた。暮らしていた世界と違い。治安国家だから。今のような大騒ぎ。暴力事件をおこなえば直ぐに警察……。羽が、お前が暮らしていた世界の治安部隊か、近衛隊が直ぐに駆けつけ捕らえ、逮捕となるから。もう二度と街中で暴れることは禁止だからなぁ。わかったかぁ? 羽?」と。


 籍は、己の姉か、妹かわからない。自分自身の半身である覇王妃さまへと諫めの言葉を告げるのだ。


「……ん? ああ、分ったよ。籍~。もう二度と。二度としないから~。そんなに~。いつまでも~。怖い顔で、儂を睨まないでおくれよ。籍。あなた~」と。


 覇王妃さまはこのように、籍の二の腕で相変わらず甘え、ジャレ。声音の方も年頃の少女らしく、甘え声色を駆使、使用しながら己の主の御機嫌取りをおこなう。おこなうのだよ。だが……。



 覇王妃さまは、籍の二の腕に頬ずりしながら甘え、後方──。彼の、籍の背の後ろに立つ。羨望な眼差しで、覇王妃さまと籍の二人を遠目から見詰める健司少年と。覇王妃さまと目と目が合えば、『あちゃ』と、言った感じと様子で、慌てて後ろを振り向き、自分の存在を隠そうとする。ばつの悪い様子、容姿でいる胡亥姫さまを見つけると。


「ああ~。胡亥──! 胡亥、貴様はぁあああっ!」と。


 荒々しい口調、声色で胡亥さまを名指しで呼び、叫び始めたのだ。


 それも、籍の二の腕で甘える行為を直ぐに辞めて、怒号! 怒声を放ち始めたのだ!


 今の今、自身の主、御方さま、殿である籍に、しおらしく慎み、大人しくしなさい。虞美人草のようにと諫め、告げらればかりなのに、己の肩を振りながら。勇んだ様子と荒々し様子で、胡亥姫さまへと詰め寄り始めるのだ。


 まあ、そんな勇んだ様子の覇王妃さまに対して胡亥姫さまは、


「どうしたのですか? 覇王?」と、問いかけるのだ。


 彼女は苦笑い。作り笑いを「ホッ、ホホホ……」と、漏らしながらだよ。



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