第209話 覇王妃さまのお迎え?(21)
「当たり前ではないか、籍……」と。
覇王妃さまは嬉しそうに、籍の二の腕へと抱きつき甘えジャレながら告げる。更にこんな台詞もつけ加えてね。
「この世界の私、項羽が籍であり。別の世界の私項羽が籍であり。同一人物なのだから当たり前ではないか、籍」とね。
……だけではないのだ。
「だって母上様自身も、儂の事を、若い頃の自分自身に良く似ていると言っていたし。籍、お主を女子(おなご)にしたら。儂の顔になるような気がすると、まで、母上様は告げてくれたのだ」と。
本当に覇王妃さまは嬉しそうに籍へと告げてくる。くるのだが。それを聞いた籍はと言うと。彼の心境の方は大変に複雑。複雑な心境なのだ。
だってこの二人は、普通に男女の友人と言う仲ではなく。深い男女の仲……。覇王妃さま自身が、毎晩籍の許へと夜這いをかけ、甘えてくる程の仲なのだ。
まあ、どちらが、姉、兄、妹、弟なのかは知らないが。姉弟で深い仲だと籍もわかると少々複雑な思いになる。なるのだが。
彼の、籍の二の腕で甘える、小麦色のマーメイド。女神、魔王、覇王さまを凝視すれば、今更、自分の手元から突き放し、放置するのは籍自身も忍びないのだ。覇王妃さまの、虞美人草にも引けをとらない美しさと妖艶さまはね。
それにさ? 籍自身も何処か、心の奥底で、覇王妃さまが、自分自身だと気がついている。思っているからこそ。彼女の肢体を貪欲に求めてしまうのかも知れないのだ。
それと今の彼、籍の様子を凝視してみればわかる通りで。これだけの事件を起こした。犯した。覇王妃さまに対して、「はぁ」と、溜息をつく、漏らしただけで。籍は、寛大な処置で許している訳だからね。
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