第207話 覇王妃さまのお迎え?(19)

 優しく、優しくね。告げる。問うと、言うことはないよね?



 だって、以前からと言うか、覇王妃さまは、己の主である籍へと「籍?」と、問いかけて。


「何? 羽?」と、アプリケーションゲームをプレイしながら。余所見をしながら上の空で言葉を返してくる籍へと。


「儂もたまには籍と、外の空気を吸いながら逢引き。逢引きを、腕を組み、妃らしく、じゃれ、甘えながらしたい。したいのだが……。何処かに連れて行ってはくれぬか、籍?」と。


 尋ねる。問いかけたことが、覇王妃さまはある。それも多々あるのだ。


 でも、その都度、覇王妃さまは籍に。


「無理だ!」、


「駄目だ!」、


「妖怪、物の怪、お化けの類である羽は、外にはでられない。でることができないだろう?」と。


 籍は最初から覇王妃さまが真っ昼間に、室外、外へと出歩く。歩くことが不可能と決めつけてきたのだ。妖怪、物の怪、お化け等の悪しき者達の仲間だからとね。


 う~ん、でもさ、皆の知っての通りというか? 今迄の回想シーンを思い出したらわかる通りで、覇王妃さまは悪しき者達ではなく。戦妃、戦姫、戦女神、戦神さまであり精霊さまだから。


「籍~。儂は~。物の怪やお化けとは少し違って、そんな悪しき輩を監視するのと。儂は拝めば戦に勝利と武の上達が上昇、はかどると、言った神様で、悪霊ではないのだぞ~。籍~。だから儂を逢引きに連れて行ってくれ、お願いだ~。籍~。籍~」と。


 彼に、主さまに対して、二度も三度も名前を呼び、甘え、諂いながら嘆願をしても。彼女の主さまは。


「ああ、今度また、機会があったらな……」と、告げてくるのみなのだ。


 それも? 覇王妃さま、自身のお妃さまの話しを聞いているのか? 聞いていないのか? わからない。理解がし難い様子で、アプリケーションゲームをプレイ。上の空状態で、「うん、うん」と頷くのみなのだ。


 だから覇王妃さまは、


「うぎゃ、あああっ!」と、不満! 不快感! ヒスをし、立てながら。籍がプレイしているアプリケーションゲームの、スマートフォン画像へと悪戯行為や電源を急に落とすなどして邪魔をするのだ。その都度……。でっ、その度に籍にお尻叩きの刑! 折檻に遭い!


「うぎゃ、あああっ! 籍痛い! 痛い! 籍! 許しておくれぇえええ!」と。

 絶叫を吐きながら謝罪と『シクシク」と、『あん、あっ、いい~。いいよ~。籍~」と、優艶な声音で泣く始末を繰り返している状態でね。


 だから覇王妃さまは、しどろ、もどろと、言った口調で。


「母上様が。籍の迎えに行っても良い。良いと言ってくれたから来た。来たのだ……」と。





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