第200話 覇王妃さまのお迎え?(12)
今迄は彼女、胡亥姫さまは、覇王妃さまに自分自身がこの場にいることを気づかれる。悟られるのが嫌……。
そう、胡亥姫さまは、覇王妃さまに対して後ろめたいこと……。己が自身の欲望、願望を果たすために弄した策なのだが、回想シーン。先程覇王妃さまと
梁さまが争う原因にもなった策なのだが。
胡亥姫さまは、籍の部屋に隠されていると思われる。健司少年の兄上殿の秘蔵品でもあった卑猥、破廉恥極まりないカラーの本、エッチは御本を処理、処分をさせるために使用した策で。覇王妃さまが梁さまと争いになり憤慨している可能性が大だから。胡亥姫さまは、覇王妃さまに対して後ろめたいのだ。
だから彼女は、乱闘騒ぎを起こしている覇王妃さまに対して背を向け、素知らぬ振りをしていた。装っていたのだが。今の言葉、台詞──。
自身の愛する殿方、彼氏、主、御方さまだと思っている籍が、覇王妃さまが彼女、本命だ! 愛している! と、遠回しに健司少年へと告げたものだから。彼女、胡亥姫さまの心中、心の中にある籍への淡い想いは、穏やかではないのだ。
だから胡亥姫さまは、己の顔色を変え、慌てふためきながら。
「せ、籍──⁉ あ、あなたぁあああっ! 妾と言う者がいながら ……と、言うか? 妾はあなたぁ~。あなたさまの~。何、何者になるのですか……?」と。
胡亥姫さまは、最初は荒々しく。そして最後には、悲痛な顔、表情、声色で、自身の想い人。主だと思っている殿方、籍へと問う。問いかけるのだ。
「……ん? 胡亥? 胡亥は……?」
最初は無言、少々不満のある顔色で、乱闘騒ぎを起こしている最中の、覇王妃さまとヤンキー、不良少年達の許へと向かっていた籍なのだが。胡亥姫さまの悲痛な叫び! 問いかけに対して後ろ。彼は振り返って胡亥姫さまのことを見詰めるのだ。でっ、少しばかり間が空く。空けばね。自分自身の口を開き。
「……胡亥も俺の彼女だけれど。それがどうかしたのか? 胡亥?」と。
籍は男として一番、最低極まりな台詞を胡亥さまへと告げる。告げるのだよ。男として風上にも置けない台詞をね。麗しい胡亥姫さまへと告げる。告げたものだから。流石に健司少年も。
「せ、籍……。それは流石に不味いと言うか? それはないだろう。流石に……。胡亥さんが可哀想、可哀想だよ。籍……。それにさ? 今の話し。籍の話しを聞いた胡亥さんは、きっと怒る! 怒るぞ! 優柔不断な、お前のことを!」
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