第197話 覇王妃さまのお迎え?(9)

「……いや、あの騒ぎ……。あの騒ぎだよ。籍……」


「……ん? どれだ? 健司?」


「……ほら、あれ? あれだよ? 籍……」と。


 自身の腕をあげて、己の指を、先をツンと伸ばし指し、ある者。者達を指さす健司少年なのだが。


 彼が指さす先には、誰かが。町のならず者、チンピラ達と言い争い、ではなく。争っている姿、と言いたい。告げたいところ。説明をしたいなと、思うところなのだが。ここは! この場は! あくまでも異世界ではなく、中世や戦後直ぐの焼け野原、バラック街、闇市の日本ではなくて、近代日本なのだから。ならず者達やチンピラ達とは言わず。ヤンキーの兄ちゃん達や不良のアンチャン達と呼ぶ、言う、告げる方がいい気がするから。ヤンキーの兄ちゃん達……。



 そう、籍の通う秦学園のような偏差値の高い中高一貫の進学校ではなく。この市内や区のヤンキー、不良達が通う。集まる高校……。



 そう、籍や健司少年と胡亥姫さまの目先の少しはなれた場所で、大騒ぎをしている彼等の服装、容姿を凝視すればわかる通りで、未だに詰襟学ラン着衣……。学校側も本来、本当ならば、文部科学省推薦のピチピチ学ラン詰襟を推奨していると思うのだが。


 大騒ぎをしているヤンキーの兄ちゃん達、不良学生達は、制服の上は、極端に短くした物、【短ラン】と、言う奴を着衣して、学生服の下の方は、ズボンの幅が『ガバガバ』と、ゆったりとした【ボンタン】と呼ばれる学生ズボンを着衣したヤンキー、不良少年と呼ばれているお兄ちゃん達と、派手な服を着衣している。金髪、グレイ、ネイビーカラーに赤と、鳥達のようにカラフルな髪色をした不良少年達が集ったグループ達とね。これまたカラフルな頭の色。銀髪に褐色色の肌……。



 そう、平成と呼ばれる時代に一世を風靡した【ガングロ】のような、肌の色を持つ、少女一人が、『ドッタン!』、『バッタン!』と、乱闘──。十人近くいるヤンキー、不良の兄ちゃん達と立ち回り。大騒ぎ。乱闘騒ぎを起こしている。している最中の様子、シーンがね。健司少年の両目の瞳に映る。映ったから。


 彼は驚愕しながら、彼の友人、級友である籍へと、己の指をさしながら教えた。告げたのだ。


 だから籍と。今迄で愛する殿方に寄り添い甘え戯れていた胡亥姫さま自身も、籍に甘える行為をやめて注目。凝視をしたのだ。





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