第195話 覇王妃さまのお迎え?(6)
覇王妃さまは、子が親に対して無邪気に微笑む、微笑みかけるように、梁さまへと微笑んで見せながら。
「でもね、母上様? 儂の場合は、完全な英霊が精霊化した容姿だから。耳の大きさは変える。変化する事は可能だけれど。この銀色の髪と紅色の瞳、肌の色だけは人のような色に戻す事は不可能なんだよ。母上様……」と、説明をする。
「ふぅ~ん。そうなんだ? ……う~ん。でも? 羽ちゃんの容姿をパッと見ただけでは、ダークエルフの英霊様だって、誰も気がつかないと思うよ?」と。
ちゃんとした人。人間に戻れない自分に対して、気落ち落胆をしている覇王妃さまに対して梁さまは、温かい微笑みを覇王妃さまへと浮かべながら。気にすることはないと告げる。でっ、告げ終えれば梁さまは、更に『ニコリ」と、微笑みながら。
「じゃ、私も羽ちゃんに、負けないように、ダークエルフから人。人間へと戻ってみせるね」と、告げながら。
己の脳裏で、「(ダークエルフから人の姿! 人間へと戻れ!)」と、念を込めると。
〈ボワン〉
〈ボワ~ン!〉と、ドラマやアニメ、シネマなどで良く流れる音。効果音……。
そう、魔法使いや魔法少女、特撮ヒーローに特撮戦隊シリーズなどでの変身と解除の時、場面で、良く聞こえてくるのと同じような効果音鳴り。終われば。あらあら不思議……。
いつもの美魔女で美しい梁さまの姿がある。現れたのだ。
だから梁さまの口から「よし!」、「戻った!」、「これで大丈夫!」と、安堵した声色での台詞が漏れると。
「あああ、残念。残念だね。母上様……」と。
覇王妃さまの落胆した台詞が漏れてきたから。
「ん? どうしたの、羽ちゃん?」と。
梁さまは、己の首を傾げながら覇王妃さまへと問うのだ。
「……う~ん、あのね、母上様?」
梁さまの問いかけに対して覇王妃さまは、己の両腕を組み、考えるひとへと変化。変化しながら、再度己の口を開いて。「籍がいるじゃない?」と、尋ねる。
だから梁さまは「うん」と頷く。頷いたのだ。でっ、それを見て確認をした覇王妃さまは、『ニヤリ』と、悪戯娘のように苦笑を浮かべる。
「母上様~。籍、籍の奴は? 人種の容姿よりもダークエルフの容姿。娘の方が好みだと儂に言っていた。告げていたのに。母上様は人の姿に戻るから。それでいいのかな? ……籍の趣味に合わせなくても良かったのかな? と、儂は思いながら母上様を見ていたのだが……。戻っても本当に大丈夫だった?」と。
梁さまに尋ねる。問うのだよ。覇王妃さまはね。
と、なれば? 急に己の主の好みの容姿を聞かされた彼女、梁さまは顔色を変える。
変えれば彼女の口から漏れる。吐かれる言葉は一つしかない。ないのだよ。こんな感じでね。
「うそぉ、おおおっ! 本当に~? 本当ならば? 羽ちゃん。早く~。何で早く言ってくれないのよ~。羽ちゃんは~。もぉおおおっ!」と、絶叫と不満を吐くのだ。
大変に落胆、自身の肩を落としながら。
それもまた? 家の外、近所迷惑になるぐらいの絶叫が多々吐かれたらしい。
◇◇◇◇◇
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