第194話 覇王妃さまのお迎え?(5)
それを、梁さまの不満と愚痴を、覇王妃さまが聞けば、「ん?」だよ。『ん?』と、言葉を漏らす。漏らしてしまうのだよ。だってさ、自身の母君さまが、己の顔色を変えながら、『はぁ』と、溜息を何度も、多々漏らしながら悩んでいることだから。
「(母上様は、儂に何も言ってこない。こないけれど。お金……。儂も今日からこの家、この自分の屋敷で、母上様や籍……。それと、あの気に食わぬ、淫乱女……。誰にでも平気で尻を振り。機嫌をとり。諂うような奴と一緒に、この屋敷で暮らすから食費……儂の食事代や酒の代金に困り。何処から用立てしようか悩んでいるのかも知れない。知れないから……。儂が奴、あのババァから金を調達してきた方がいいのかな?)」と。
覇王妃さまは思っていたのだ。
でも、そんなこと、お金のことではないから彼女は『ホッ』と、安堵するのだ。
でっ、し終えれば、覇王妃さまは、『ニコ』だ。『ニコニコ』なのだ。
そう、朝陽、日輪のように、『ニコニコ』と、愛嬌、可愛く。梁さまへと、子供、娘らしく微笑みかけながら。
「母上様、それならば、己……。自分自身に願をかける。『戻れ!』とか? 『治れ!』とかね。『元に戻って、お願いだから。自分自身に願をかければいいよ。この儂みたいに。ほら?』と。
覇王妃さまは、自身の耳──。
そう、己の主である籍がいつも、毎日のように、『羽の大きな笹耳は、本当に可愛い……。ファンタジーしていて大変いい。いいよ。羽……』と。
毎日大好きな彼、主様が褒め称えてくれる。ダークエルフ独特の大きな笹耳を『シュン~』と、梁さまの視覚、目から消えて無くならせた。見せたのだ。
だから梁さまは、「えぇ、えええっ!」と、「凄い! 凄いよ! 羽ちゃん!」と、覇王妃さまの面前で驚愕して見せるのだ。
「ヘッ、ヘヘへ。どう? 母上様、凄いでしょう?」と。
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