第188話 絶体絶命!(16)
そして、「あああっ、良かった……」と。
「ああっ、本当に、本当に良かった。良かったよ。母上様……」と。
母と娘の安堵感に浸る会話。会話だから。
ああっ、よかった。よかった。めでたし。めでたし……。と、いうことで、終わり。終わりだよ。物語は終わりなのだ。……ではない。ないよね。そして、これで、終わり。終わりと言うことはない。
籍! もう一人の覇王の母だと言われた。告げられた。梁さまの絶叫、動揺、困惑は、今から始める訳だから。
「な、何が、『良かった』ですか、貴女はぁっ。何を安堵した言葉を漏らしているのっ。一体、貴女は、誰? 誰なの? 毎晩籍の……。家の息子の部屋へと尋ねてきては悪態行為……ってぇえええっ! 一体何? 何? この部屋はぁあああっ! ベッドも壊れているし。洋服タンス、クローゼットも壊れてぇえええっ! あ、貴女ぁっ! 貴女が全部破壊をしたの? これはぁあああっ⁉」と。
まあ、梁さまは、他にも言いたい告げたいことが、覇王妃さまに対して多々あるけれど。取り敢えずは、これだけのことを絶叫交じりで、自分のことを『母上様』と、慕うように告げてくる。物申してくる女性……と、いうか? いつも夜に覇王妃さまの容姿を見る。拝んでいたのと、彼女の人種ではない。妖艶、官能的な姿と肌の色を持つ、ダークエルフの女性と言うことで、全く気がつかなかった梁さまなのだが。彼女、覇王妃さまの容姿を間直で、『フムフム』と凝視をすれば。自身の息子である籍と変わらない年頃の少女だと気がついて。
「(えぇえええっ! こ、この娘(こ)未だ少女だったの? でも家の籍と何かしら如何わしいことをしていた筈よね。確か?)」と。己の脳裏で思う。
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