第178話 絶体絶命!(7)

 やはり覇王妃さまが放った妖力、魔力弾は、勢い良く。早く。梁さまの許へと飛行、飛んでいるようだから。彼女、梁さま瞬時に逃げ、退避することはできない。難しそう。そうなのだ。


 と、なれば? ここは? この場は? 覇王妃さまも致し方ない。ないからと諦めるしかなさそうだ。と、言うことはない。ないのだ。


 だって彼女、覇王妃さまの凛として魔王、覇王の証である紅玉の瞳の灯り。灯火は、全くと言って良いほど、消えてもいなし。衰えてもいない。只ひたすら凛々と燃え栄えている状態だから。覇王妃さまの艶やかに濡れた唇が開くと。彼女の口から今度はこんな台詞が放たれる。


「はぁあああ~。封印をされた我妖魔、魔王……。そして~! 覇王の力と血と、血縁の力を解放──!」


 覇王妃さまは、己の美しい顔の、目の前、中心線に指を立てて念を込め、こんな台詞を呟き唱え始める。


 でっ、最後は「喝!」と叫ぶと、覇王妃さまの身体は神々しく光り輝く女神さまの如く……ではない。皆も遠目からでも覇王妃さまの容姿、姿を確認すればわかる通りだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る