第175話 絶体絶命!(4)

 だから諦めよう。諦めようよ。梁さま……。



 それよりも貴女? 麗しい貴女の容姿や肢体に、二度と消えぬような傷がつく。つくのではないか? と、思う方が。この部屋の壁がめげる。破壊される。壊れるよりも心配。心配なのだ。梁さまの肢体、裸体は、あの美の女神フレイヤ神や女神イシスに女神イシュタルと。その他の名たる美と豊穣の女神達に対して、勝るとも劣らない。あの美しい肢体や裸体に傷が少しでも入る方が。この世の漢達にとっても不幸。不幸なことになるから早く逃げて。お願いだよ。梁さま~! と、声を大にして叫びたい! 叫びたい衝動に駆られるほどなのだよ。主人公である覇王妃さまには大変に申し訳ない。ないのだが。梁さまには直ちに、その場から退避──。一目散に家の外──。まだからでもいいから。今直ぐこの場から立ち去って欲しい。欲しいのだ。………でないと? 覇王妃さまが、この通り。この通りなのだ。


「死ね~。この、淫乱女なぁ~。今直ぐ死んでしまえ~」と。


 覇王妃さまが荒々しい台詞を吐きながら。己の魔力を最大限まで高めた魔法弾を、梁さまへと放つ──。


 そう、撃ち込んでくるから、ではなく。もう遅い。遅いよ。梁さま。覇王妃さまは、麗しい貴女に向けて、魔力弾を放ち。撃ち込んできたようだが。


 今度は覇王妃さまに言いたい。訊ねたい衝動に駆られる。


 だって覇王妃さま、梁さまのことを『変態、淫乱女』と侮る。台詞を吐いた。漏らしたけれど。梁さまは、籍の実母なのだよ。そんな彼女に対して覇王妃さまは、そんなおげれつ、侮る、蔑むような言葉と台詞を梁さまに告げ申してもいいのかな? と、思うのだ。


 だって覇王妃さまは、己の半身である籍の嫁、虞美人草になりたくて仕方がないのにこんなことをしたらダメ。ダメでしょうにと申したくなる。


 それに? 今覇王妃さまが梁さまへと放った妖力、魔力弾で、梁さまのきめ細かい。手入れのいきとどいた軟肌に、少しでも傷が入るようなことにでもなれば。今回の籍の覇王妃さまへの折檻は、お尻ペンペン百叩きぐらいでは済まなくなる。なること間違いないと思われるから。


『あああ~。知らない~。知らないぞ~。覇王妃さま~。本当に知らないからね~』と、思っていると。


「お、伯母上~。伯母上~。梁伯母上~。今直ぐ~。直ちに逃げてください~。今の貴女の容姿だと~。儂が今放った妖力弾は受ける。受ける事ができないからぁあああ~。早く逃げてぇええ~。お願いだぁあああ~。梁伯母上~」と。


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