第76話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(19)

 そう、己の愛する主の為に、「今晩の夕飯は何にしようか~?」と、また独り言を呟きながら。禁断の恋を毎日楽しみ、充実した日々を送る。


 そう、あの日──。


 覇王項羽が、己の主である籍の部屋を襲撃した日から。梁は充実した日々を送り楽しんでいる。


 そう、あの日から、実の妹である拍へと、自分自身の乙女のような淡い恋心を隠し。そして通すこともしないですんでいるので。梁はそれだけでも満足! 満足しているのだ。


 だから彼女の女盛りの肌は、サラに潤い艶やかに光り輝いて魅せて、自身の主さまを誘い誘惑光線を振り撒くのだ。『ピュ~、ピュ~』とね。とさ。って?



 あれ? 良く思案をしてみたら? 籍が覇王妃に襲われる原因となったパソコン専用ゲームソフトである【黄泉の国】は。籍がクラスメイトの女性からプレゼント、貰い受けたところまでは説明をしていたようだが。




 そのクラスメイトの女子は一体誰なのか、迄は、籍自身も梁や拍に説明をしないまま……。伯の嫉妬心が原因で口論になり。最初は拍が拗ね、でッ、今は籍が拗ね、不貞腐れて、拍を無視──。


 そのまま、ハイスクールへと向かうと梁に告げて、ダイニングキッチンを出て去り──。


 その後を、己の顔色を変えながら拍が追いかけていき──。只今、若い二人が玄関で口論……。




 でッ、最終的には、拍が泣き崩れて、主へと「籍~。お姉ちゃんが悪かったから許して、お願い~」と、謝罪をしたところで、夫婦喧嘩が終わる。


 まあ、何とも言い難い。平和な日常が、今日もきた田中家……ではなく。



 中華は【楚】項燕を祖に持ち、血を含むとされている項家の流れをくむ田中家の平和な朝の日常の様子……。




 う~ん、でもさ? 覇王妃は? こういった血の繋がりがあるから今晩も……。




 そう、己と血を分けた一族──肉親を寂しいから求めるのだ。


 ついでに彼女は、覇王項羽の英霊──。女体化した精霊さまだから。毎夜毎夜と、寂しさを紛らわす為に、田中家……。




 そして精霊さまの半身、伴侶である、項籍……。覇王項羽の実名を持つ彼を求めて訪れるのだった。


 多分、今夜もね?



 ◇◇◇◇◇


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