第70話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(13)
「籍~?」
「ん? 何、姉さん?」
「あんたが、以前プレイしていたゲームなのだけれど? 一体何処で手に入れたの?」
相変わらず黙々と食事。梁が愛情を込めて作ってくれたモーニングを食べている籍であるのだが。拍に声を……と、言うか? 問われたので。己の握る箸を止め──。手休めしながら。
「えっ? どれのことかな? 姉さん?」
籍は、少し悩んだ顔をしながら伯へと言葉を返すのだが。
まあ、彼女、伯はね? 己の主さまへと苦笑い。籍あんた~、冗談でしょう~? と、でも言いたい様子。苦笑をしながら。
「どれって? あんたの所にお化けがでるようになった原因のゲームのことよ」
己の両手をブラブラ、柳の葉や枝が風で揺れるような動かし方──。
そう、『怨めしや~』のポーズ、ジェスチャーを籍へとしながら問う。
「あっ、あれね? あれのことか?」と。
拍の問いかけに対して籍は、最初は驚愕──。
そして次に溜息を漏らすように言葉を返したのだ。
そんな己の主の顔色、様子を拍は凝視しながら。
「そう、そう、あれよ。あれ? あの不気味なゲームを籍~。あなたは一体何処で購入をしてきたの?」
と、問いかける。
「ん? 姉さん、何処って? あれはね? 俺のクラスメイトから譲り受けたと言うか? 貰ったんだよ。『籍~。貴方~。シュミレーションゲームをプレイするのが嫌いでなければ。このゲームをプレイしてみてよ。お願いだから~』と、俺に告げながら手渡してきたんだよ……。だから俺自身がお店で購入をしたゲームではなく。クラスメイトの女子から貰ったんだよ」と。
籍は伯へと微笑、何も気にもしていない様子で、同じハイスクールへ通う、クラスメイトの女子から頂いたゲームだと説明をするのだ。
籍自身の大事な女性(もの)の一人……。
特に己へと今、問いかけてきた。
そう、覇王項羽の怨霊? お化け?英霊? 精霊? まあ、何者なのかよくわらない彼女……。
覇王妃が毎夜、毎夜と、ゲームのプレイの最中や睡眠の最中に、籍を襲って、と、言っても。呪い殺そうとする訳ではなく。優艶な振る舞いと、言うか? 妃的振る舞いで、籍に甘えてきているだけなのだが。
まあ、取り敢えず、この場は、覇王妃のことは置いておいておくことにして、話しを進めるが。
籍の大事な女性(ひと)は大変に嫉妬深く、己の大事な男(もの)に対して執着心も大変に強い。暴れ牝馬。じゃじゃ馬娘だから。
今の籍の安易な説明を聞き──。自身の大変に麗しく美しい顔の眉間に皴を寄せ、怪訝な表情へと移り変わりながら。
「……ん? 籍~?」と。
声音だけ優しく問いかける。
だから籍自身も拍のことを余り気にした様子もみせないで。
「どうしたの、姉さん?」
と、言葉を返したのだ。
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