第69話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(12)
昔、昔のお話……。男女の色恋が絡む怪談話が多々あることを梁は熟知しているから。彼女は心配で、心配で致し方がないのだよ。
だから己の主さまに、『大丈夫だから。心配しないで』と告げられても。梁は心の奥底から安堵できない。
「籍~、本当に大丈夫なの?」
だからまた自身の主へと問うのだよ。
でもね、親の子知らずではないが。梁の若い主さまは、毎夜毎夜と自分自身の部屋へと通い妻の如く訪ねてくる覇王妃のことなど全く気にもとめない様子で。
「大丈夫! 大丈夫! 心配しないで俺のことは、本当に大丈夫だから」と。
梁に対して籍は安堵するようにと笑いながら告げてくるのみなのだ。
と、なれば?
梁自身は、いくら籍に大丈夫、安堵してくれて告げられて。彼女は不安で仕方がないからね。己の心の中で。
「(籍に何かあれば、私が……)」と。
自身の心の中で固く誓うのだ。
それも? この部屋の天井──。籍の部屋へと続く場所を凝視……でなくて。
梁は己の目を細め、鋭く睨み、覇王妃との決戦を決意するのだ。
こんな感じでね。
「(次にあの化け物女が現れたら。今度こそ私が、籍の代わりに仕留めてやるのだから……)」とね。
まあ、こんな荒々しいことを自身の脳裏で思えば、自然と己の顔にもでる。
だから梁と籍の正面に座る拍には、自身の姉が何かを思い。また、何かしらを決意したことは十分に承知。悟ることができるから。
「(姉さんは、毎夜籍の部屋に現れる物の怪の女を退治。撃退するつもりでいるみたいだけれど。あの女の事は以前から私が何故か気に入らない……。あの女を見ているだけでも腹が立って仕方がないから……。あの女を仕留めるのは、姉さんではなくて私……。必ず私があの化け物女を仕留めてやるのだから……)」と。
拍の姉である梁と同じように、この部屋の天井──。籍の部屋へと続いている場所を凝視──。自身の目を細め睨み始めだすのだ。
でもね? そんな女性陣達の勇んだ気持ちとは裏腹に、彼女達の主である籍はと言うと?
「うぅ~ん、美味い! 美味い! 母さんのお味噌汁……。そして料理は、この世界で一番美味しいよ」と。
絶賛──!
歓喜をあげ──続けるのだった。
◇◇◇◇◇
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