第19話 女同士の対面……(8)


 う~ん、でも、梁の言葉は、拍に次から気をつけるようにと嘆願、予告ではなく。


「だから拍―! 今直ぐに下着とパジャマ若しくは、スェット、ジャージを着衣して頂戴! 今直ぐに~! 分ったー? 拍―?」


 と、大変に荒々しい物言いなのだよ。


 そう、梁は自身の妹である拍に対して直ちに下着と。それを覆い隠すことが可能な衣服を着衣するようにと告げ……ではなくて。妹の伯へと下知をくだすのだ。


 だから拍に口からは、「えっ? でも……」と、しか声が漏れてはこない。


 だって伯は? 最初から二階にある自身の部屋に戻るための容姿……。




 北欧神話の妖艶、官能的な豊穣の女神さまをも驚愕するような美しく官能的な裸体を隠すつもりなどなく。二階にある自身の部屋まで、差し足、忍び足、ソォ~と、足音を立てないように上がる……。気なども全くない。


 そう、自分の隣の部屋にいる甥の籍に。自分の存在……。




 今二階へと、風呂上がりの自分が向かっていると『お知らせ』『魅入って虜になって』と、言わんばかりに、『ドンドン』と、大きな足音を立てながら自身の部屋へと戻る気でいたので。脱衣所の方に、姉の梁と変わらぬような優艶な下着と。それを覆い隠すようなスケスケネグリジェなども用意をしていない状態だから。拍は『困った、困った』仕様になっている状態なのだ。



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