第205話 僕は大変に身体に良い。薬膳料理にも使用されるくこの実(1)

「【ウコンパンプ】の次は、これを食べてみて。お姉さんと娘さんは……」と。


 彼、【ウコンパンプ】の代わり。次に僕こと【くこの実】、【ゴジベリー】、【クコベリー】を試食として、幼い頃の絵里ちゃんと。絵里ちゃんのお母さんである。家のおじさんの密かな想い女性(人)、アイドルである。今も大変に若くて容姿端麗のキャリアウーマンになる前の頃の。未だ幼さも残るすみれさんに試食を出す。家の怖い顔のおじさんなのだが。


 多分彼は? この時、すみれさんとの初めての出逢いで一目惚れをしたのだと思う?


 だって家の怖い顔のおじさんの胸の鼓動が、いつもと違う。と、いうか? 他のお客さま達への対応が全くと言って良い程。先程までと雲泥の差ぐらい。家のおじさんの鼓動の高鳴り。口調が違う。仕草も違うのだ。


 だって家のおじさんは、【ちくわおじさん】と、言っても。『誰? その人は?』と、なると思うから。少し説明をするけれど。先程まで家の【ウコンパンプ】が隣の爺さんと、煙たい口調で告げていた。僕達が使用をしている販売ブース、売り場の隣の販売ブースを使用している齢九十二歳の御老体なのだが。彼は他人との会話をするのが好き、楽しいのだろう。お客さま達とも、販売が終わっても笑みを浮かべながら会話をしているのだけれど。


 家の怖い顔のおじさんは、僕達が怖い顔と言う。告げる。漏らすぐらい不愛想。余り、と、いうか? ほとんど会話をしない。することがない。ないからね。


 何が楽しくてと、楽しみでこの人は暮らしている。生活をしているのだろうと思うことが、僕達お菓子・珍味・ドライフルーツの精霊達は思うことが多々あるぐらい不愛想でね。


 この道の駅に物品販売や実演販売。商いしにきている人達も。家の怖い顔のおじさんとは、不愛想だから話すことはほとんどと言って良いほどない状態が十年以上も続いている。


 だから家の怖い顔のおじさんと話し、会話をするのは店内。この道の駅の駅長さんと経理課の女性(ひと)と。この道の駅の店頭販売ブースの物品販売や実演販売を管理、担当をしているチーフのお姉さまと。僕達の隣で竹輪や佃煮を販売している齢九十二歳のちくわのおじさんぐらいなのだ。


 ……う~ん、それでも? ちくわのおじさんが家の怖い顔のおじさんに「おい。お前?」と、声をかけてくれても。


「あああ、どうした? おじさん?」と、言葉を返すぐらいでね。


 その後は、ちくわのおじさんが一人で、「昨日なぁ」とか。「今日はお前、あれだなぁ」と。ちくわのおじさんが一人で口を動かし、喋る。話しをするのを、家の怖い顔のおじさんが、「うん」、「うん、うん」と、己の頭を振り、頷きながら。ちくわのおじさんの話しを聞いているだけなのに。


 今日の家の怖い顔のおじさんは、と、いっても? これはあくまでの過去の回想シーンであり。家の怖い顔のおじさんが朝も早くから道の駅、販売ブースでの、店出しの最中に、JK仕様と、いうか、成長をしている絵里ちゃんが寄ってきて、いつもの如く不愛想な家のおじさんの様子を凝視して安堵する。している最中の話しの続きだから。と、説明をしたところで、話しの元に戻るのだが。


 まあ、とくにかく、いつもムスっとした顔と様子でいる。不愛想を絵にしたような人物である家の怖い顔のおじさんが。本人も気がついている。気がついていない。まあ、どちらなのか、僕【クコベリー】も解らないけれど。


 彼の声を高ぶっているし、トーンも高いし。笑みも浮かべ大変に嬉しそうにお客さま達……。





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