第138話 僕は超珍しい漢【ウコンパンプ】(3)

 そう、彼等彼女達が本当に戻る、戻るのか解らない台詞を漏らし、囁き、呟きながら。販売説明、トークを必死にしていた者や者達の前から移動──。他の売り場を見て周り始める。始めるのだよ。


 後もう少し。もう少しの所で、今のお客様達や小団体さま達に購入してもらう。してもらえた。可能だったかもしれないのに。


 その場、売り場を後にして販売者。売り事を呼ばれる者達を哀愁漂う者。近い者。寂しく切なく思う者へと変化──売り場もね。


 仮にもしもだよ? 今の販売者、売り子からの試食、商品説明を食べ聞きして、購入する。しないにしても。長く、ダラダラと、話しを聞き、会話を続けていれば、【桜】と、化して。売り場、販売ブースの目の前を素通りする者達が『何?』、『何だ?』と思い。振り返り凝視して立ち止まり。また販売者、売り子からの試食を受け取り。自身のお口に入れながら商品説明を食べ、聞き、する可能性がある。あるのにね。その売り場を後にする。するのだ。


 本当に来店をするか、しないか解らないのに。


『後でくるわ~』の台詞を漏らし、呟きながら。己の手を挙げ、掌を振り後にする。


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