第124話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(26)

 家のおじさんの販売ブースの隣──。昭和一桁産まれの御老体が家のおじさんへと嘆いてきた。今の若い男(者)達は世が平和、治安が良いからと。己の財産、宝である女性や子供を直ぐに放置して、己の欲望、欲しい物を見定める為に、己の一番大事な宝物達を放置するからイカン! イカン! と、【イカン砲】を連続放射──。怒号を撃ち、というよりも。嘆きを連続発射し続ける。


 でもね? 家のおじさんも、今の御老体の嘆きを聞き──。


 毎年恒例の如く、終戦記念日が近づくと家庭のテレビの番組──。特番などで良く放映をされる終戦記念日特別ドラマや過去に上映をされた大東亜戦争時を題材にしたシネマの中で子供が攫われる。


 そう、未だあの当時は【遊郭】があった時代の為だろうか? 小さな子供が攫われると、言ったシーンを何度か見た事があるから。子供が攫われると言った件は、何となくではあるのだが。家のおじさんも理解ができる。


 う~ん、でも? 若い女性が攫われると言うのは、流石におじさんは大袈裟だ! 大袈裟過ぎる! いい加減な事ばかり言う! 言うな! と、家のおじさんは思った。そう、不快にね。


 だから隣の御老体へと苦笑い。苦笑をしながら。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る