第113話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(15)
するとさ、昭和一桁産まれの御老体は、遠くを見詰める。
そう、走馬灯でも眺め見詰めるような表情で。
「今は平和、人の人権や未成年者の保護法などもしっかりとしたこの国、日本だから良いのだが。儂等の子供、幼少期の頃は、人目につかないような場所だけではなく。こんな人の通りがあるような場所でも、小さい子供など男女問わずいなくなり……。そう、人攫いに遭う。遭い。連れ去られるようなことが今のこの平和で安全な【令和】の時代の日本とは違い。日常茶飯事迄とは言わんが。普通に起きていた時代だったから。儂等の若い頃は、幼い子を持つ親達が己の子の為に危惧する行為は、物や人との接触事故に対しての怪我を危惧するだけではなくて。己の小さい子供達が人攫いに遭い。連れ去られないように周りに警戒、用心。常に危惧しながら歩かないといけない時代だったからのぅ。今の令和の時代のように親が子供を放置と言う事はないのだ……」と。
ぼやき、嘆き、呟くのだ。昭和一桁産まれの御老体はね。相変わらず遠く。走馬灯でも見る。見詰めるような表情で、家のおじさんへと、自分自身の若い頃……。昭和と呼ばれた昔の時代の一番激闘──変化が多々起きた。昭和二十年前後。頃の時代の話しを家のおじさんへと『今の若い者達は……』と、嘆くように呟くのだが。昭和一桁産まれの御老体は……。
でも彼の嘆きはこれだけでは終わらない。
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