第101話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(3)

「おじさん、普通はそうだろう……。それではいけないのか?」


 まあ、ごく当たり前。普通な台詞を家のおじさんは、御老体へと返答。呟く。


 ま、家のおじさんが呟けば、御老体もまた苦笑。


「いや、いけない事は無い。無いんじゃがのぉ」と。


 やはり未だ御老体は、今の物達……。【今の令和】の時代をのほほんと平穏、平和に暮らしている若者世代に不満があるような様子、顔色、声音、家のおじさんへと言葉を呟き返してくるのだ。


 でも? 家のおじさんも、昭和一桁産まれの御老体が何? 今の【令和】の時代を生きる若人達へと不満、嘆いているのか、わからない。理解ができない。


 だから呟き、漏れる台詞は。


「なら別に? それでいいではないか? おじさん? 別に他人のことなのだから。おじさんが気にすること。必要性もない。だから放置していればいい。儂のことも含めてだが、気にする必要性はない。そう、ないのだから。気にするな……。それよりも? 声を出して呼び込みしよう。仕事をしよう。おじさん……」と。


 家の販売ブースの隣──。隣のブースで商い。家と同じように行商。販売業で己の生活の糧を得ている。昭和一桁産まれの御老体へと、家のおじさんは告げ、呟く。


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