第100話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(2)

「まあ、そうかも知れんが……」


 家のおじさんの問いかけに対して、御老体も苦笑いを浮かべ、苦笑をしながら言葉を返してきたのだ。


 だから家のおじさんは、「ああ……」と、だけ言葉を漏らしたのだ。


 でも? 昭和一桁産まれの御老体は、やはり未だ、今の若い男性陣達の彼女や新妻、幼子に対する接し方や連れて歩く様子に対して、全部、皆ではないが不満が少々……。いや、多々かな? あるようなのだ。


「……だが、それは? 子供達が迷子、歩行者同士の接触事故。交通事故に遭ったら大変だ! だからいけない。危ないから。親、両親、自分自身の許から離れて歩かない。それと? 接触事故でも起こして他人に迷惑をかけたらいけないから離れるな、と、行った感じではないのか?」と。


 今度はこんな台詞、言葉を家のおじさんへと話しかけながら、御老体は問いかけてくるのだ。


 まあ、凄く当たり前の事をね。


 だから家のおじさんは、己の首を傾げる、だけではないか。


 昭和一桁産まれの御老体が、余りにも普通過ぎる事をうちのおじさんへと問いかけてくるから。


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