第99話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(1)

「そう、儂等の……」から始まる御老体の台詞、呟きに対して、家のおじさんは、「うん」と、直ぐに言葉を返したのだ。


 だから家のおじさんは、爺さんどうした? と、失礼極まりなく思う。


 だって? 御老体自身も、第二の人生……人生五十年、歳を過ぎた上に放置──手入れを怠れば。直ぐに白髪が出て、白髪まみれになるおじさんに、『爺さん』と、『儂はよばれたくはないぞ』と、思うに違わない。


 まあ、そんな【昭和】産まれの二人──。壮年と老人の過去の会話の話の続きなのだが。


 家のおじさんに、うんと言葉を返された昭和一桁産まれの御老体なのだが。


「子供の頃は親から絶対に、自分から離れて歩くなと、告げらた。じゃないか? 口煩いほど、親から離れて歩くなと言われてものじゃ」と。


 御老体は渋い顔、というよりも? 不満のある顔色で遠くを見詰めるように、相変わらず嘆くように言葉を呟き、漏らしていく。


「それならば? 今の【令和】はこの時代でも普通に、どの家族でも言う。と、いうか? 両親が子供達へと怒声若しくは告げ、漏らしている台詞ではないのか? おじさん、よ?」と。


 不快、渋い顔をしながら嘆く御老体に対して、家のおじさんは、苦笑いを浮かべながら問うのだ。


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