第89話 ふふふ、今度は私かな?(5)

 自分自身が一番光輝いていた頃──!


 お姉様の独身時代、誰が自分自身の容姿を見て確認をしても【お姉さん】、【お姉様】、【彼女】、【お嬢様】の上に、『何て美しい』、『煌びやかな』、『素晴らしい』と、褒め称え、呼んでくれていた独身時代の良い頃を思い出すから。というよりも?



 思い出し、味わい、褒め称えられることを堪能していたいのだ。


 絵里ちゃんのお母さんは、というか。お姉様。世の女性達はいつまでも異性に、『美しい』、『煌びやか』、『素晴らしい』、【女性】、【女】だと永遠に見てもらい。優しく接し声をかけ話し。会話をしてもらいたいものなのだ。


 家の怖顔で、容姿の方も、お世辞でも良いとは言えないおじさんでも、世のお姉様達は、「おねえさん」、「おねえさん」と。今のように何度も呼ばれ、手招きされ続けたいものなのだ。


 それが百歳になろうとも、女性達は永遠に美しく麗しいお姉様達なのだから。いつまでも褒め称えられたいものだ。


 だから家のおじさんに、


「お姉さん。食べて、食べて、食べてみて~」と。


 私【クランベリー】の試食を勧められている絵里ちゃんのお母さんこと【お姉様】は。あっさりと私【クランベリー】を己の持つ、しなやかな指先で受け取ったのだ。


 もう、彼女は、家のおじさんへの猜疑心が薄れ、好感度アップの状態だからね。【竹炭豆】の時とは違い。あっさりと受け取る。


 でッ、受け取れば、というか? 先程のお姉様の家のおじさんへの質問の続き。


『これ、何?』の続きになるのだが。



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