第86話 ふふふ、今度は私かな?(2)

 私【クランベリー】と呼ばれる果物を長く保存ができるようにと、加工し、されて、ドライフルーツへと進化した【クランベリー】は、思わず憤怒、怒りをあらわにする。


 家の怖顔をしたおじさん……。無表情、年中日焼けの為に、浅黒い肌の色をしているから、傍から彼を凝視しても分り難いが。家のおじさんはあれでも、己の顔を桜色に染めているのだ。


 先程私【クランベリー】が己の身体を、家のおじさんが食品トングで丁寧に扱わないで、強く摘まんだ事への不満を呟き、漏らし申した通りだ。


 家のおじさんは、目の前のお姉さんの容姿が自分好みだから、無表情を装いながらも緊張しているのだよ。


 相手は幼い少女……ではないからね。(笑)


 まあ、絵里ちゃんのお母さんだけれど。本当に仕方がない奴、と、言うか? 年甲斐もなく致し方がない奴だと思うよ。相手の麗しいお姉さん、絵里ちゃんのお母さんは人妻なのに『このスケベ!』、彼女の美しく麗しいお顔や胸の辺りばかりを、さりげなく見ては、自身の鼻の下を伸ばすな! と、怒号を吐いてやりたい衝動に駆られるのだが。この時のおじさんは、今とは違い。未だ四十代だから致し方がないか。彼自身も未だ精力の方が衰えておらず。今の怖顔のおじさんよりかは、元気の良い頃。時代だったからねと。



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