第77話 俺は暗黒神! 竹炭豆様だ!(12)

 三度もだよぉ。作った声音ではなく。サラリとごく自然に、『お姉さん』と、家のおじさんは絵里のママへと声をかけ呼び──。最後は、俺様【竹炭豆】のことを試食してみてくださいと乞い。諂うのだ。


 と、なれば?



 女性と言う者は、いつまでたっても若く美しく見られたいし。女王さま……。




 そう家中の女王さまでいたいのだ。いくら自分自身が娘を産み、夫婦で育てる最中で、夫が、自分自身よりも娘に甘くなり、己の目の中に入れても痛くない存在へと変わり。家中の女王の座を脅かされ、だけではないか?



 仮に奪われたとしても、ママ達は、いつまでも女王さまでいたいし、女性として永遠に見られ、見続けられていたいのだ。


 だから家のおじさんの、三度の『お姉さん』と声をかけられるのと。俺様【竹炭豆】を試食してみてくださいの、媚び諂う様子は、密かに嬉しい。


 と、言うか?



 かなりママさんは嬉しい筈なのだ。


 いくら、ママさんへと媚び諂う異性が、家の怖顔をしたおじさんだとしても、異性に『お姉さん』と三度もサラリと呼ばれ、媚び諂い女王さま扱いを受ければ嬉しくて仕方がない筈。


 だって家のおじさんから優しい声色で囁かれたママの口からは。


「……えっ?」、「そうね……」、「(ウフン)食べてみようか?」と。




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