第56話 おじさんとJK(43)

 要するに、絵里ちゃんのお父さんもお母さんと一緒だよ。


 僕達のおじさんに「お兄さん」と呼ばれ──。


「お兄さんも、試食をしてみて。さぁ~、さぁ~。どうぞ~」と。


【ある物】の試食を勧められて気を良くし。しながら。僕達が所狭しと、並ぶ販売台──。


 自分の家族の許へときたのだ。


 まあ、彼が販売台までくる間に。


「パパ~のことを『お兄さん』だって~」(フフフ)


「お店のおじさんに、『お兄さん』と、呼ばれて、パパ嬉しそうだね~」(フフフ)


「そうだね。ママ~。パパ今頃『おじさん』としか呼ばれないもんね。絵里の友達とかからも」(フフフ)


「そうよね。絵里の言う通りで、パパも以前とは違って中年太り気味だから。今頃は『お兄さん』ではなくて、おじさんだもんね~」(フフフ)


「そう、そう、ママの言う通りで。家のパパはもうおじさんだもの」(フフフ)と。


 そう、彼の家族……。



 奥さまと絵里ちゃん達二人から苦笑を受け、浴び──。揶揄われ、嘲笑いの洗礼を受けながら照れ恥ずかしそうにこちらへと向かってきた絵里ちゃんのお父さんなのだが。到着するなり。


「うるさいな~。ママと絵里は……」と。



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