第50話 おじさんとJK(37)

 と、なれば?



 自身の妻と娘から離れた場所──。一人待ちぼうけをくらい。呆然としながら立ち尽くす。


 それも不満を募らせながら佇んでいる絵里ちゃんのお父さんの不満を解消してあげないといけない。


 でないと? 絵里ちゃんのお父さんが、『お前達行くぞ~』と声を発して、自身の家族を手許に戻そうと試みてしまう。


 またそのことを僕達の怖顔のおじさんは、長年の経験……。販売業を三十年以上も続けている男性(ひと)だから十分に承知している。


「お兄さんも摘まんでみて──! そして試食をしてみて──!」


 不機嫌極まりない様子で佇んでいる絵里ちゃんのお父さんへと、僕【芋かりんとう】の細くて華奢身体を食品トングで新たに竹の笊──。富士山のように山盛りに飾ってある中から掴んで、絵里ちゃんのお父さんへと、【怖キモ顔】笑みを浮かべながら手渡しを始めるのだよ。



「えっ? いや、おじさん……。俺は甘い物苦手だからいいです……」



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